太陽電池モジュールの選び方
太陽光発電システム導入を検討されている方にとって、システムの基本である太陽電池(モジュール)の特徴は大変気になるところだと思います。
モジュールには様々な種類がありますので、そちらについて解説したいと思います。
シリコン系
半導体としてのシリコンは、現在、太陽電池の材料として最も多く普及しています。
シリコン系は、「結晶シリコン(単結晶・多結晶)」「アモルファスシリコン」、および2つの「ハイブリッド型」に分類できます。
(1)単結晶シリコン
セル(太陽電池本体)全体がひとつの結晶になっているのが単結晶です。
変換効率は、13~18%と高いのですが大量生産できないため、多結晶シリコンに比べて高コストです。
メリット
信頼性が高く変換効率も高いため、多くの発電が期待できる。
デメリット
シリコンの使用量が多く大量生産できないため、価格も高め。
(2)多結晶シリコン
セルの中に、小さなシリコン結晶がいくつも入っているものが多結晶です。
安価で大量生産がしやすく、変換効率も12~16%程度見込めるので、価格と性能のバランスが良く、現在では、住宅用の主流になっています。
メリット
単結晶シリコンよりもシリコン使用量が少ないため、価格も低め。
デメリット
単結晶シリコンと比べて変換効率が若干低く、発電量も見劣りする。
(3)アモルファスシリコン
ケイ素を主体として、シリコン層を可能な限り薄くした薄型シリコンです。
変換効率は6~9%と、結晶シリコンと比べて、エネルギーギャップが大きく、光吸収係数が高いのが特徴です。
メリット
・シリコン使用量が少ないため、価格も低い。
・高温時の発電量低下が少ない。
デメリット
単結晶、多結晶と比べて変換効率がかなり低い。
(4)HIT(ハイブリッド)
単結晶の「高い発電効率(変換効率は16~19%)」、アモルファスシリコンの「高温時でも発電量が低下しにくい」という双方のメリット組み合わせたハイブリット型です。
メリット
・多結晶シリコンと比べて変換効率が高い。
・高温時の発電量低下が少ない。
・低反射ガラスを使用するなど太陽光の反射率を低下し、よりたくさんの光を取りこむことがでる。
デメリット
製造コストが高く、コストパフォーマンスに優れているとは言えない。
化合物系
CIS / CIGS
銅、インジウム、ガリウム、セレンを原料を使用した化合物半導体を発電層に使い、シリコンのように「pn接合」によって発電させようとするものが化合物系です。シリコンを使わず、発電層を薄い膜状の半導体とすることで、製造時の消費エネルギーや排出CO2を少なくできる特徴があります。変換効率は9~14%程度で、影や温度の変化に強い。
メリット
・高温や影がかかる天候でも安定した発電量が期待できる(発電量の低下が少ない)。
・製造に必要な資源も少なく、量産にも向いているため、今後低コスト化の期待。
デメリット
シリコン系と比べて、変換効率が悪い。
研究段階の太陽電池モジュール
化合物系
CdTe太陽電池
変換効率13~14%程度見込めて、比較的安価で大量生産しやすい化合物系の太陽電池モジュールではありますが、カドミウムの毒性の問題があり、廃棄の際に環境への悪影響が懸念されるというデメリットもあります。
GaAs太陽電池
宇宙開発用に研究開発されている太陽電池モジュールで、変換効率は28~44%と高性能ですが、コストが高く、一般的に実用化されるのは、今のところ難しいかもしれません。
有機系
シリコンなど無機物を使わないで、有機物を用いる太陽電池です。
常温で製造できる変換効率7~11%程度の「有機薄膜太陽電池」と低コストで製造できる変換効率5~11%程度の「色素増感太陽電池」が研究されていて、次世代型太陽光発電システムの本命の一つとされていますが、実用化は少し先になりそうです。